結論: ARCはテレビ側のARC対応HDMI端子からサウンドバーへ音を戻す機能で、イーサネット対応のハイスピードケーブルなら追加の専用ケーブルは不要です。ただしeARCでドルビーTrueHDやAtmosを送るにはPremium High Speed以上の認証品が必要です。音が出ない原因の多くは端子の選択ミスとCEC(リンク機能)のオフです。
サウンドバーを繋ぐとき、誰もが同じ疑問を持ちます。専用ケーブルが要るのか。ARCについては、映像ケーブルより条件が細かいぶん、答えも細かくなります。
音が逆方向に流れる仕組み
空いた1本の線を使う
通常のHDMIはソースから表示機器へ一方向に信号を流します。テレビ自身のチューナーやアプリの音をサウンドバーへ送るため、ARCはそれまで未使用だった線を逆方向に使います。そのためARC以前に作られたケーブルでも、その線が入っていれば動作します。
帯域は約1Mbps
ARCが送れるのは圧縮5.1chと非圧縮ステレオです。ドルビーデジタルプラスにAtmosのメタデータを載せることはできますが、TrueHDやDTS-HD Master Audioは通りません。ロスレス音声が必要ならeARCが前提になります。
ARC・eARC・光デジタルの比較
| 経路 | 帯域 | 形式 | 連動 |
|---|
| ARC | 約1Mbps | PCM2ch、DD5.1 | CEC |
| eARC | 最大37Mbps | TrueHD、DTS-HD、Atmos | CEC+ハンドシェイク |
| 光デジタル | 固定で狭い | DD5.1、DTS | なし |
光デジタルは、テレビにARC端子がない、あるいはHDMI端子が埋まっている場合の実用的な逃げ道です。Atmosの高さ方向チャンネルは送れず、リモコン連動もありませんが、CECの影響を受けないという利点があります。
音が出ないときの確認順
端子を間違えている
ARCに対応する端子はテレビに1つだけで、多くはHDMI 2です。HDMI 1に繋ぐと戻り経路が使われず、音は出ません。筐体の刻印を見るだけで解決する場合が少なくありません。
CECが切れている
ARCは単独の音声規格ではなくCECと結び付いています。CECが無効だと、サウンドバーは音を引き受けるべきだと判断できません。メーカーごとに呼び方が異なり、ビエラリンク、ブラビアリンク、レグザリンクなどの名称で提供されています。抽出器が必要かどうかは音声抽出器とARCの比較が参考になります。
ケーブルの選び方
ARCだけなら短いイーサネット対応ハイスピードケーブルで足ります。eARCでは同じ線に高いレートが乗るため、Premium High SpeedかUltra High Speedの認証品を選びます。規格と限界の比較はHDMI ARCとeARCの違い、光ケーブルとの比較はHDMI ARCと光ケーブルの比較に整理しています。
実務で多いのは、途中の機器がeARCを壊すケースです。切替器や抽出器を挟むとハンドシェイクが成立せず、気づかないうちにARCへ落ちています。ロスレスにこだわるなら、サウンドバーをeARC端子へ直結します。
実用例
- テレビとサウンドバー: HDMI 2とサウンドバーを1.5mで結び、CECを有効にします。配信アプリの視聴ならARCで十分です。
- AVアンプ構成: アンプが入力切替を担い、テレビへ映像を送る場合は戻り経路を使いません。
- ARC非対応プロジェクター: 音声は抽出器か光出力から取るしかありません。
- 2部屋への分配: 分配器を使うと音声出力が1系統になるため、ARCを複数台へ分けることはできません。
よくある質問
ARCに専用ケーブルは必要ですか
単純なARCなら不要で、イーサネット対応のハイスピードケーブルで動作します。非常に古い、あるいは極端に細いケーブルでは線自体がない場合があります。eARCは認証品が必要です。
ステレオにしかなりません
テレビの音声出力がPCMになっていると、ARCへ送る前にステレオへ変換されます。音声メニューでビットストリームか自動に変更すると、ドルビーデジタルがそのまま通ります。
ARCと他の機器を同時に使えますか
テレビのARC端子は1つだけです。サウンドバーとヘッドホンアンプを同時に鳴らしたい場合は、2系統出力のある抽出器か、分配を担うアンプが必要になります。