結論: トスリンクはS/PDIFをプラスチック光ファイバーで送る規格で、ステレオPCMと圧縮5.1ch(ドルビーデジタル、DTS)まで通ります。ドルビーTrueHD、DTS-HD Master Audio、Atmosの高さ成分は通りません。一般的なプラスチックファイバーは5〜10mが実用範囲で、それを超える場合はガラスファイバー品を選びます。
光デジタルは家庭で最も長く使われているデジタル音声接続で、今も最も扱いやすい方式です。限界を知っていれば、無理な使い方をしなくなります。
光でS/PDIFを送る仕組み
1mmのプラスチックファイバー
トスリンクはPMMA製のコア径1mmのファイバーを使い、約660nmの赤い光で送信します。コアが大きいためコネクタの位置ずれに強い反面、減衰は大きくなります。これが10m超で不安定になる理由です。
中身はS/PDIF
ファイバーは伝送路にすぎず、プロトコルはS/PDIFのままです。2chの非圧縮か、圧縮されたビットストリームを送ります。どの形式が通るかは送信側が決め、ケーブルは関与しません。
光・同軸・HDMIの比較
| 経路 | 媒体 | 形式 | ノイズ耐性 |
|---|
| トスリンク | プラスチック光 | PCM2ch、DD5.1、DTS | 電磁ノイズの影響なし |
| 同軸 | 75Ω銅線 | トスリンクと同じ | シールドが必要 |
| HDMI eARC | 銅線4ペア | TrueHD、Atmos、DTS-HD | CEC依存 |
表のとおり、トスリンクは劣っているのではなく守備範囲が狭いだけです。ステレオ機器、テレビの内蔵スピーカー代わりのサウンドバー、ドルビーデジタルまでのホームシアターなら十分です。ロスレスを求めるならeARCが唯一の経路です。
5.1chが届かないとき
テレビ側でPCMに変換している
音声出力がPCMだと、テレビがすべてステレオに変換してから送出します。するとトスリンクにはステレオしか乗りません。設定名はビットストリーム、自動、パススルーなど機種ごとに異なります。
ファイバーが細すぎる
安価なケーブルには0.5mmコアのものがあり、2mでも高サンプリング時に欠落が出ます。プラグの開口部を覗いて、コアが開口を満たしているかを確認します。
端子形状と長さ
標準は角型のロック付きで、ノートPCや携帯プレーヤーには3.5mm角のミニトスリンクが使われます。変換アダプターは安価ですが接続点が増えます。10mを超える場合はガラスファイバー品のみが実用的です。コアキシャルとの比較はトスリンクと同軸デジタルの違い、光と同軸の使い分けは同軸と光オーディオの比較、HDMIとの違いは光オーディオとHDMIの比較を参照してください。
実用例
- テレビとステレオアンプ: 電気的な接続がないため、ハム音の原因になるGround Loopを作りません。
- ドルビーデジタル対応サウンドバー: テレビ側をビットストリームにすれば5.1chがそのまま届きます。
- PCとDAC: ミニトスリンクで出力し、OS側のサンプリングを48kHzに固定します。
- 長い配線が必要なラック: 10m超はガラスファイバー品を選びます。
よくある質問
5.1chになりません
再生側がPCM出力になっている可能性が高いです。ビットストリームに変更し、接続先がドルビーデジタルを復号できるか確認します。
ケーブルは何mまで使えますか
プラスチックファイバーは5〜10mが目安で、サンプリングレートが高いほど短くなります。10m超はガラスファイバー品を選んでください。
光と同軸はどちらが良いですか
音質は同等です。光は電磁ノイズとGround Loopに強く、同軸は長距離と機械的強度に優れます。短い距離なら扱いやすさで選んで問題ありません。