結論: 2×4mm²のスピーカーケーブルは、片道0.0044Ω/m、往復で0.0088Ω/mです。8Ωのスピーカーで10m使うと0.088Ωが加わり、ダンピングファクタは約160から58に下がります。5mまでなら2.5mm²で十分で、10m以上や4Ωのスピーカーでは4mm²が有利です。端子の接触抵抗も同じくらい効きます。
スピーカーケーブルは音質論で語られがちですが、実際に効いているのは単純な抵抗比です。計算すれば、必要な太さはおのずと決まります。
抵抗だけが効く
往復で数える
銅の抵抗率は0.0175Ω·mm²/mです。4mm²なら1mあたり0.0044Ω、電流は往復するため2倍の0.0088Ω/mになります。ここを片道で計算すると、必要な太さを1段階小さく見積もってしまいます。
ダンピングファクタ
ダンピングファクタは、負荷インピーダンスをアンプの出力インピーダンスと線路抵抗の和で割った値です。8Ω、アンプ0.05Ω、ケーブル0.088Ωなら約58になります。ケーブルなしなら160です。値が高いほど、アンプはスピーカーの動きをよく制御できます。
断面積と長さ
| 断面積 | Ω/m(往復) | 10mで | DF(8Ω) |
|---|
| 1.5mm² | 0.0233 | 0.233Ω | 約28 |
| 2.5mm² | 0.0140 | 0.140Ω | 約42 |
| 4mm² | 0.0088 | 0.088Ω | 約58 |
| 6mm² | 0.0058 | 0.058Ω | 約74 |
ダンピングファクタが50を超えていれば、可聴帯域での影響は小さいとされます。4Ωのスピーカーでは値が半分になるため、同じ結果を得るには断面積を倍にする必要があります。
4mm²の実務的な扱い
端子に入らない
4mm²は小型アンプのバネ式端子に入りません。バナナプラグや圧着スリーブを使って径を整えます。被覆を長く剥きすぎると、芯線が隣の端子に触れて短絡します。圧着スリーブは、ほつれた素線による短絡も防ぎます。
壁内配線
壁に通す場合は、被覆が長期埋設に対応したケーブルを選びます。通常のスピーカーケーブルを壁内に這わせるのは感電と劣化の面で適切ではありません。管を通す場合は、滑りの良い被覆の製品が引きやすいです。
接触抵抗という見えない抵抗
端子の接触抵抗は、ケーブル10m分に匹敵することがあります。酸化したネジ端子、緩んだバナナプラグ、汚れた表面は、断面積を上げる意味を打ち消します。年1回、端子を増し締めし、必要なら接点復活剤を使います。3m・8Ωでは2.5mm²と4mm²の差は測定できても聴き分けは難しく、投資するなら設置位置と部屋の音響が先です。
接続方法はスピーカーケーブルの接続、太さの選び方はスピーカーケーブルの断面積、AWG換算はスピーカーケーブルのAWGを参照してください。
実用例
- デスクの小型スピーカー: 2mなら1.5mm²で十分です。距離が短いため抵抗の影響は無視できます。
- リビングのフロア型: 5m・2.5mm²にバナナプラグを組み合わせ、接触を安定させます。
- 店舗の天井スピーカー: 15mの配線では4mm²を管内に通し、端子は圧着スリーブで処理します。
- パッシブサブウーファー: 距離は短くても電流が大きいため、4mm²を選びます。
よくある質問
10mに2.5mm²で足りますか
8Ωなら多くの場合足り、ダンピングファクタは約42です。4Ωや低域の制動を重視する場合は4mm²を選びます。
太いケーブルほど良い音ですか
良い音になるのではなく、影響が小さくなります。抵抗が問題にならない短距離では、スピーカー自体の個体差や設置位置のほうが大きく影響します。
延長しても大丈夫ですか
端子台や圧着で確実に接続し、引っ張りに耐えるよう固定すれば可能です。素線を撚ってテープで止める方法は、酸化と断線の原因になります。