結論: RCA(ピン)ケーブルは中心導体とシールドによるアンバランス伝送で、ライン出力なら5m程度までが実用範囲です。長くなるほど容量で高域が減衰し、外部ノイズも拾いやすくなります。50Hzのハム音はケーブルではなく、機器間の接地電位差によるGround Loopが原因であることがほとんどです。
RCAは家庭用オーディオで最も一般的な接続で、同時に最も繊細な接続でもあります。1mで何の問題もないケーブルが、5mになると別物になります。
アンバランス伝送の構造
2本の線と1つの基準
1チャンネルは中心導体とシールドで構成されます。シールドは戻り電流を流すと同時に外部からの電界を遮ります。信号と戻りが同じ経路ではないため、同相ノイズを打ち消す仕組みがありません。ノイズは信号に加算されます。
レベルと基準
民生機器は約2Vpp、実効0.7Vで動作します。業務機器の+4dBu(1.23V実効)とは約12dB差があり、混在させると音量が合いません。ケーブルはレベルを変えません。変換にはアッテネータやプリアンプが必要です。
RCA・XLR・3.5mmの比較
| 端子 | 伝送 | レベル | 実用長 |
|---|
| RCA | アンバランス | 約0.7V実効 | 5m程度 |
| XLR | バランス | 1.23V実効 | 50m程度 |
| 3.5mm | アンバランス | 0.5〜1V | 3m程度 |
バランス伝送が長距離に強いのは、同相ノイズを差動で打ち消すからです。RCAにはその仕組みがなく、シールドだけが防御になります。そのぶんケーブルの質が効きます。
容量と高域の減衰
ローパスの正体
ケーブルの容量と出力インピーダンスでローパスフィルタが形成されます。1mあたり100pF、5mで500pF、出力インピーダンス1kΩなら遮断周波数は約318kHzです。10kΩなら32kHzまで下がり、高域が聞こえて分かるレベルで減ります。出力側のインピーダンスが長距離の成否を決めます。
シールドの差
編組シールドは被覆率が高く、低周波でも効果があります。スパイラルシールドは柔らかい代わりに隙間が多く、電源トランスの近くでは不利です。被覆率95%前後の編組品を選ぶと余裕が生まれます。
ハム音の正体
50Hzのブーンという音は、機器間の接地電位差が原因のGround Loopがほとんどです。電位差を埋める電流がシールドを流れ、それが信号に現れます。対策は、全機器を同じ電源タップに集める、アンテナ線を一時的に外して切り分ける、絶縁トランスやバランス変換を入れる、の順に試します。ケーブルを替えても解決しません。
一方、高い周波数のピーという音はスイッチング電源やデータ線からの飛び込みです。距離を取るか、シールドの良いケーブルに替えることで改善します。バランス伝送の利点はバランスとアンバランスの違い、ケーブルの選択肢はRCAケーブルにまとめています。
デジタルとアナログの違い
デジタル音声用のRCAケーブルは75Ωが規定されています。外見は同じでも、アナログ用を長距離のデジタル伝送に使うと欠落が起きます。逆にデジタル用をアナログに使うのは問題ありません。RCAから3.5mmへの変換はRCAからAUXへの変換を参照してください。
実用例
- レコードプレーヤーとフォノ入力: 1m未満の短いケーブルを使います。信号が小さく、ノイズの影響が大きいためです。
- CDプレーヤーとアンプ: 0.5〜1m、編組シールド、端子のがたつかない製品を選びます。
- サブウーファー: モノラル1本、5m未満、必要ならY分岐を使います。
- 多室分配: 5mを超えるならバランス伝送か絶縁トランスへ切り替えます。
よくある質問
新しいケーブルなのにハム音が出ます
原因はGround Loopで、ケーブルではありません。全機器を同じ電源タップに繋ぎ、アンテナ線を外して切り分けます。改善すれば電位差が原因です。
RCAは何mまで使えますか
ラインレベルなら5mが目安で、出力インピーダンスが低くケーブル容量が小さければ10mも可能です。マイク信号には使わず、バランス伝送を選びます。
デジタル用をアナログに使えますか
使えます。75Ωのデジタルケーブルは容量もシールドもアナログの要件を満たします。逆は保証がなく、長距離では避けます。