結論: USB-Cハブは4本の高速ペアを映像とデータで分け合います。4K60を出すには4本すべてをDisplayPortに使うため、USBは2.0相当になります。USB 3.0の5Gbpsを同時に使うと映像は4K30に落ちます。給電もハブ自身が10〜15Wを消費するため、100Wの電源でもノートPCに届くのは85W前後です。
ハブは小さな筐体に詰め込んだ妥協の産物です。何を奪い合っているのかを理解していれば、妥協を自分で選べます。
4本のペアと二重の役割
映像とデータが同じ線を通る
USB-Cには4本の差動ペアがあります。純粋なUSBモードでは送受2本ずつとして5Gbpsまたは10Gbpsで動き、DisplayPort Alt ModeではDisplayPortのレーンになります。ハブは接続時に配分を決め、その配分は挿し直すまで変わりません。
4K60が4本を要求する理由
4K60の8bit、4:4:4は12.5Gbpsを必要とします。2レーンHBR3では生が12.96Gbpsで、符号化を引くと足りません。したがって4レーンが確実な経路となり、その代償がUSB 3.0の帯域です。
ハブのクラス分け
| クラス | HDMI | USBデータ | PD出力 |
|---|
| 基本ハブ | 4K30 | USB 3.0 5Gbps | 60W |
| 映像優先ハブ | 4K60 | USB 2.0 480Mbps | 85W |
| DSC対応ドック | 4K60×2 | USB 3.2 10Gbps | 90W |
3行目がドックの価格差の理由です。DisplayPortハブとDSC、配分を動的に切り替えるマルチプレクサが入っており、単純なハブにはその回路がありません。
給電の計算
ノートPCに届く電力
100Wの電源をハブに繋いでも、そのまま100WがPCへ行くわけではありません。イーサネット、カードリーダー、HDMI変換チップの分として10〜15Wが引かれます。65Wの電源では残り50Wとなり、高性能ノートでは動作中に充電が追いつきません。
接続の順序
先にハブへ電源、次にハブとノートPCを繋ぎます。逆にするとPCはハブを負荷と認識し、充電を開始しません。機種によっては一度抜き差ししてハンドシェイクをやり直す必要があります。
ドックを選ぶべき場面
モニター2台、有線LAN、カードリーダーを同時に使うならドックが適しています。差は装備だけでなく帯域の管理にあります。モニター1台と時々のデータ転送ならハブで足ります。使い分けはUSB-Cハブとドックの違い、選定の考え方はUSB-Cハブのガイドを参照してください。
見落としやすいのがバスパワーです。電源のないハブは接続機器へPCから給電するため、2.5インチHDDのような起動電流の大きい機器で接続が切れます。電源付きUSBハブはこの問題を根本から解決します。
実用例
- 自宅の4Kモニター1台: 映像優先ハブを選び、速度が必要な機器はPC本体の別ポートへ挿します。
- オフィスの共有デスク: 電源付きドックで、1本のケーブルにLAN・映像・給電をまとめます。
- 会議室のプレゼン: 資料中心なら4K30のハブで十分で、動画は変換アダプターで直結します。
- 写真家の取り込み: USB 3.0と給電が同時に必要なため、電源付きハブを選びます。
よくある質問
HDDを挿すと4K30になります
ハブがレーンを再配分し、USB 3.0用に2本を空けるためです。DSC対応のドックか、データ用のポートを分けることで解決します。
4Kモニター2台は可能ですか
DSCか低いリフレッシュレートが前提です。4K60を2本流すと1本のUSB-Cの帯域を超えるため、4K60+4K30か、1440p×2が現実的です。
65Wの電源で足りますか
ハブの消費を引くと50W前後になり、高性能ノートでは不足します。100Wの電源を用意すると余裕が生まれます。