結論: DisplayPort 1.4は4レーンをHBR3(1レーン8.1Gbps)で使い、生の32.4Gbpsから符号化のオーバーヘッドを除いた25.92Gbpsが実効帯域です。4K60の10bit、4:4:4は圧縮なしで通り、4K144や8K60はDSCが前提になります。VESAの認証がないケーブルはHBR2(実効17.28Gbps)で頭打ちになることがあります。
DisplayPortは、規格番号とケーブルと動作モードが別々に存在するため混乱しやすい接続規格です。番号は端子の世代、レートはケーブル、モードはレーンの使い方を決めます。
25.9Gbpsの内訳
4レーンと3段階のレート
DisplayPortのメインリンクはレーン単位で独立して動作します。HBR2は1レーン5.4Gbps、HBR3は8.1Gbpsです。4レーンでは生の値が21.6Gbpsと32.4Gbpsになり、符号化を除いた実効値が17.28Gbpsと25.92Gbpsになります。計算は必ず実効値で行います。
1.4で追加されたもの
DisplayPort 1.4ではDSC 1.2と前方誤り訂正(FEC)が加わりました。高レートでは1ビットの誤りが画面の乱れとして見えるため、FECの有無は安定性に直結します。DSCは固定比率の圧縮で、一般的な3:1を使うと4K144や8K60が現実的になります。
世代ごとの帯域
| 世代 | レート | 生 | 実効 | 用途 |
|---|
| 1.2 | HBR2 5.4Gbps | 21.6Gbps | 17.28Gbps | 4K60 8bit |
| 1.4 | HBR3 8.1Gbps | 32.4Gbps | 25.92Gbps | 4K60 10bit |
| 1.4+DSC | HBR3 | 32.4Gbps | 約3倍相当 | 4K144、8K60 |
| 2.0 | UHBR 20Gbps | 80Gbps | 77.4Gbps | 8K60 無圧縮 |
1.2から1.4への差は小さく見えますが、実務では4K60の8bitと10bitの差になります。HDRを帯域を落とさずに扱いたいならHBR3は避けられません。
認証と長さの関係
表示と試験の違い
VESAはHBR3向けにDP8K認証を用意しています。この試験がないケーブルは8.1Gbpsで不安定になり、結果としてHBR2へ落ちます。エラーは表示されず、高解像度でのちらつきやリフレッシュレート低下として現れます。
導体径と取り回し
認証済みのパッシブケーブルはHBR3で2〜3mが目安です。それ以上はアクティブか光ファイバーが必要になります。1.5mなら問題なく、5mをパッシブで狙うと保証がなくなります。
マルチモニターとレーン配分
DisplayPortの強みは1本で複数画面を扱える点です。MSTでは実効帯域を分割するため、4K60の10bitを2枚並べると25.92Gbpsを超え、DSCか2ポートへの分割が必要になります。モードごとの比較はDisplayPort 1.2と1.4の違いを参照してください。
コネクタ形状は帯域に影響しません。Mini DisplayPortも同じレーンを小さな筐体に収めただけで、違いはDisplayPortとMini DisplayPortの違い、Thunderboltとの関係はThunderboltとDisplayPortの比較にまとめています。
実用例
- 写真編集とHDR: 4K60の10bit、4:4:4にはHBR3が必要で、1.2のケーブルでは8bitに落ちて階調が破綻します。
- 4K144のゲーミング: DSCがないと到達できません。GPUとモニターの両方が対応し、ケーブルは認証品を選びます。
- ドックからモニターへ: 2m未満のケーブルでHBR3を確保します。長いとレートが下がります。
- 4画面のビデオウォール: MSTで分割し、各画面1080pなら現実的ですが、4K×4は非現実的です。
よくある質問
1.2のケーブルでも違いは分かりますか
要求帯域が17.28Gbpsを超えた時点で分かります。4K60の8bitなら気づきませんが、10bitや4K120ではレートが下がるか色差が削られます。
音声ケーブルは別に必要ですか
不要です。DisplayPortは同じケーブルで最大8チャンネルの音声を送れます。モニターやアダプターが音声を通過させ、OS側で出力先を選ぶ必要があります。
1.4の端子に2.0のケーブルは無駄ですか
無駄にはなりませんが利点もありません。端子側のレートで頭打ちになるため、DP8K認証品のほうが安価で確実です。2.0の端子があって初めてUHBRケーブルが活きます。